対頂角・同位角・錯角は、図形の証明問題でよく出てきます
この3つの名前と「どの位置の角度が等しいか」をセットで覚えようとして、
苦労した人も多いのではないでしょうか
でも実はこの3つ、2つの事実さえ押さえれば、
名前を覚えなくても自分で導くことができます
この記事ではその2つの事実から順番に考えていきます
大事な2つの事実
この記事で使う事実は2つだけです
- 直線は180度
- 2直線は平行
この2つから、対頂角・同位角・錯角がすべて導けます
順番に見ていきましょう
対頂角:「直線は180度」だけで導ける
2本の直線が交差するとき、向かい合う角度は等しくなります
これを対頂角といいます
でも「向かい合う角が等しい」というのは、覚えるようなことではありません
1つずつ角度を追っていけば自然と出てきます
∠Aに注目します
直線は180度なので、∠Aの隣の角は
180 – ∠A
さらにその隣の角は
180 – (180 – ∠A) = ∠A
∠Aと向かい合う角も ∠A になりました
これが対頂角です
「直線は180度」という1つの事実だけで導けます
同位角:「平行」だから決まる
平行な2直線に1本の直線が交差するとき、同じ位置にある角度は等しくなります
これを同位角といいます
なぜ等しくなるのか、図で考えてみましょう
赤い直線と青い直線が交差しています
ここで赤い直線をそのままコピーして、上に移動させます
移動させた赤い直線は、元の赤い直線と平行になっています
ここで考えてみてください
移動させた赤い直線は、元の赤い直線を位置だけずらしたものです
同じ直線をずらしただけなのだから、青い直線となす角度は変わらないはずです
これが同位角が等しい理由です
平行な2直線は「位置をずらしただけの同じ直線」だから、交差する角度は変わりません
ただしこれは直感的な説明です
より厳密には「平行な2直線に1本の直線が交わるとき同位角は等しい」というのは、
平行な直線が持つ「もっとも根本的な性質(きまり)」です
なぜ等しいかを突き詰めると、
「平行な線とは、そういう性質を持つものとして数学では認めているから」
という話に行き着きます
ここはこれ以上証明ができない、基本のルールとして受け入れてください
錯角:同位角+対頂角で導ける
平行な2直線に1本の直線が交差するとき、互い違いの位置にある角度は等しくなります
これを錯角といいます
錯角は独立して覚える必要はありません
同位角と対頂角を組み合わせると導けます
平行な2直線に1本の直線が交差しています
上の交点の右上にある角(グレーの∠A)に注目してください
まず同位角より、グレーの∠Aと下の交点の∠Aは等しくなります
次に対頂角より、グレーの∠Aとその向かい側にある角(上の交点の左下の∠A)は等しくなります
よって、上の交点の左下の∠Aと下の交点の∠Aは等しくなります
この互い違いの位置にある2つの角の関係が錯角です
同位角と対頂角の2つを極めたら、錯角という角度の関係も定義した方が便利だよね
というくらいの位置づけです
名前は覚えるものじゃなく使うもの
ここまで見てきた通り、対頂角・同位角・錯角は2つの事実から自分で導けます
名前を覚えていなくても、時間さえかければ問題は解けます
とはいえ、覚えておいた方がいいのは確かです
毎回ゼロから導いていると時間がかかりますし、
何より名前があった方が話が早く伝わります
試しに、同じ証明問題を「名前なし」と「名前あり」の2通りで解いてみます
問題
下の図のように、平行な2直線上にそれぞれ点A・B、点C・Dがあり、
線分ADと線分BCの交点をEとします
AB // CD、AE = DE のとき、△ABE ≡ △DCE を証明しなさい
解答(名前なし)
まず、対頂角・錯角という名前を使わずに証明してみます
補助の点を足して、角度を一つ一つ追っていく方法です
正しい証明ですが、180度の計算が何度も出てきて、式を追うのが大変です
解答(名前あり)
次に、対頂角・錯角という名前を使って同じことを証明してみます
同じ結論にたどり着きますが、
こちらの方がずっと短く、読みやすくなりました
名前を覚えなければいけないのではなく、
名前を使うと意思疎通が効率的になるから使うのです
対頂角・同位角・錯角は「暗記するルール」ではなく
「便利な意思疎通のための道具」です
まとめ
2つの事実から対頂角・同位角・錯角が導けることを整理します
① 直線は180度 → 対頂角(向かい合う角は等しい)
② 2直線は平行 → 同位角(同じ位置の角は等しい)
①+② → 錯角(互い違いの角は等しい)
名前を覚えることよりも、この2つの事実を理解していることの方が大切です
名前はその理解を効率よく伝えるための道具です
覚えようとして覚えるのではなく、何回も使っているうちに勝手に覚えてしまった
そんな状態になるのが理想だと思います











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