三角形が1つあります
この三角形と同じものを、誰でもかけるようにするには
どんな条件が必要でしょうか
辺の長さでしょうか、角度でしょうか
いくつ決まれば足りるのでしょうか
これを順番に確かめていくと、教科書に載っている三角形の合同条件が出てきます
「その間の角」「その両端の角」という言い方で覚えにくい、あの3つです
みなさんは暗記しましたか?
私は暗記しようとしましたが、諦めました
その代わり、合同条件が出てくるまでの流れを覚えることにしました
なので暗記に困っている方へ共有できたらと思います
今回は一番重要な概念である「合同」とは何か、というところから始めていき、
丸暗記からの脱却を目指していきます
「合同」とは何か
まず「合同」について確認していきます
三角形の合同条件の「合同」です
ただし、そのままの位置で重なる必要はありません
青い三角形が、重心の赤い点を中心に回転しながら移動しています
オレンジの三角形の位置まで来ると、ぴったり重なりました
位置が違っても、向きが違っても、動かして回すと重なります
なので、この2つの三角形は合同です
また、重ね方はもう1つあります
青い三角形とオレンジの三角形の間に、点線が1本引かれています
この線を軸にして、青い三角形をひっくり返します
すると、オレンジの三角形にぴったり重なりました
このように、ひっくり返して重なる場合も合同であるといいます
まとめると、2つの図形が合同であるといえるのは次の場合です
- 動かして回転させると重なる
- 鏡写しにすると重なる
数学っぽく表現するなら、
形と大きさが同じ2つの図形を「合同である」と定義します
では、ある三角形と形も大きさも同じ三角形をかくには、
何が決まっていればいいでしょうか
三角形の合同条件について考える
3つの辺が決まっていればかけそう
最初に思いつくのは、辺の長さを全て決めてしまうことだと思います
5.0cm、4.4cm、3.5cm
この3本で三角形を作ってみます
3本の直線を動かして、端どうしをつなげていきます
自然につながる場所に移動させたら、
三角形ABCができました
ところで、三角形の組み方はこのパターンだけではありません
頂点Aが下に来るようにして三角形を作ることもできます
上が最初にできた三角形ABC、下が上下を逆にした三角形A’B’C’です
間にある点線は対称軸です
下の三角形を対称軸で折り重ねると、上の三角形にぴったり重なりました
鏡写しにして重なる図形は、先ほど定義した通り合同です
なので、これらは同じ図形として扱うことになります
つまり、3つの辺が最初に決まっていたら、
誰でも同じ三角形がかけるということがわかりました
2つの辺だけでは足りない
3つの辺が決まっていれば、
合同な三角形がかけることがわかりました
今度は2つの辺だけでもできないかを確認していきます
辺BC=5.0cm、辺CA=3.5cmと決めた状態の三角形を考えます
点Cを中心に、∠Cが開いたり閉じたりしています
左上の数字が∠Cの大きさです
辺BCは5.0cm、辺CAは3.5cmのまま変わりません
それでも、∠Cが変わるたびに三角形の形が変わっています
点Aが通った軌跡を、点線の半円で示しました
∠Cが決まっていないと、点Aはこの半円上のどこにでも来られます
2つの辺を決めただけでは、色々な三角形ABCが作れてしまい、
合同な三角形を作るための条件としては足りていないようです
そこで、辺以外の条件を足してみます
今回は角度を1つ決めてみます
2辺に加えて角度を1つ決めてみる
∠Cを60°に決めて三角形を考えてみます
∠Cが60°になったところで頂点Aの動きを止めます
頂点Aが止まれば辺ABの長さも確定して、
三角形ABCの形が確定しました
できた三角形は、3つの辺を決めたときのものと同じです
つまり、2つの辺とその間に位置する角度を固定する
この条件であれば合同な三角形がかけるようになりそうです
角は∠Cでなければいけないのか
さきほど決めたのは∠Cでしたが、
∠Bでも合同条件にならないかを確かめていきます
辺BCと辺CAの長さを固定したまま、∠Bを43°に決めます
点Bから伸びた点線を43°で固定しました
辺BC、辺CA、∠Bを固定した状態で三角形ABCができるためには、
頂点Aは、この青い点線上に来る必要があります
辺CAを動かしていきます
∠Cが60°になったところで、点Aが点線の上に乗りました
できたのは、3つの辺を決めたときと同じ三角形です
辺ABは4.4cmです
しかし、今回はここで終わりではありません
辺CAをそのまま動かしてみます
∠Cが34°になったところで、点Aがもう一度点線の上に乗りました
今度の辺ABは2.9cmです
辺BCが5.0cm、辺CAが3.5cm、∠Bが43°
この2つの三角形は、どちらも条件を満たしています
それなのに形が違います
回転させても鏡写しにしても重なりません
∠Bを決めても、かく人によって違う三角形ができてしまうことがわかりました
これでは合同条件とは言えません
∠Cならよくて、∠Bだとだめでした
そのため、三角形の合同条件としては辺BCと辺CAが成している角度を固定する必要があります
これを文章で表現すると、辺BCと辺CAの間の角と書けます
間の角を固定すれば、辺ABがその場で決まり、
間の角を固定しないと、辺ABが決まらず、点Aの位置が2つになってしまいます
決める角度が違うだけで、結果が変わってしまうということです
だから、どの角度でもいいわけではありません
まとめると、2つの辺と、その間にある角度を固定する
これで誰でも合同な三角形がかけるようになります
1つの辺だけでは当然足りない
もう1本減らした場合も考えてみます
辺BCの長さだけを決めます
点Bから青い線、点Cから赤い線が伸びています
2本とも、長さも角度も自由に変わり続けています
ときどき2本が重なって、三角形ができます
ただし、できるたびに違う形です
見て分かる通り、1つの辺だけでは足りません
今回も条件を加えていきます
1辺に加えて角度も決めてみる
∠Cを60°に固定します
続いて、点Bから伸びた青い点線を動かしてみます
2本が重なったところが頂点Aです
∠Bが変わるたびに、点Aの位置も動いています
辺ABと辺CAの長さも、それにつれて変わり続けています
途中、∠Bが43°になったところで、これまでの三角形が現れます
ただしそれは通り過ぎる形の1つでしかありません
∠Cを決めただけでは、まだいろいろな三角形ができてしまいます
そこで、∠Bも固定します
∠Cを60°、∠Bを43°に固定します
2本の点線が重なった点が頂点Aです
∠Bが43°で止まると、点Aもそこで止まります
余分な点線を消すと、
残ったのは、3つの辺を決めたときと同じ三角形です
ここでは辺ABと辺CAの長さを決めていません
それでも∠Bと∠Cが決まった時点で、点Aの位置は1か所しかありません
止まったあとの長さを見ると、4.4cmと3.5cmになっています
長さを決めなくても、合同な三角形をかくことができました
つまり、1つの辺とその両端にある角度を固定する
これでも誰でも合同な三角形がかけるようになります
∠Aでもかけるが、両端の角のほうがかきやすい
使ったのは∠Bと∠Cでした
∠Aでもよいのか確かめます
オレンジの辺BCと、赤い印のついた∠A、∠Bが決まっているとします
点線の2辺はまだ決まっていません
この状態でも合同な三角形はかけます
三角形の3つの角を足すと180度なので、
∠C = 180 −(∠A + ∠B)
と、∠Cが計算で求まるからです
∠Aを固定するということは、∠Cを固定することとほとんど同じです
どちらか一方が決まれば、もう一方も自動的に決まってしまうからです
∠Cが分かれば、あとは先ほどと同じです
ただし、実際にかくときの手間が違います
∠Aは頂点Aが決まっていないので、そのままでは測れません
両端の角なら、分度器を当てるだけで済みます
どちらでもかけますが、両端の角を使うほうが手間がかかりません
まとめ
分かったことを整理します
- 3つの辺が決まっていればかける
- 2つの辺と、その間の角が決まっていればかける
- 1つの辺と、その両端の角が決まっていればかける
上の3行を数学の言葉で書き直します
- 3辺がそれぞれ等しい
- 2辺とその間の角がそれぞれ等しい
- 1辺とその両端の角がそれぞれ等しい
これらは三角形の合同条件です
これは誰かが決めたルールではありません
同じ三角形をかく方法を探して、かける場合を並べたらこの3つになっただけの話です
「その間の」と書いてあるのは、間の角でないと2通りできたからです
「その両端の」と書いてあるのは、その方がかきやすかったからです
どちらも、この条件を正確に伝えるために言葉を選んだ結果です
言い回し自体に意味があるわけではありません
合同条件を3つ暗記するのではなく、
合同条件が見つかるまでの流れを理解しておく方が、
証明問題を解くときにも役に立つと私は思います























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